オーストラリアの塩害問題を伝えるアート「Sense of Taste」
2011年10月12日このモノクロの彫刻は、現在ロンドンにあるGVアートギャラリーで「Sense of Taste-味覚-」と題された展示が行われており、制作したのはケンとジュリア・ヨネタニの2人が制作しました。作品は伝統的な静物絵画(フランドルの画家ジャン・ブリューゲルによって1618年に描かれた色鮮やかな傑作「味覚」にならって作られており、チーズ、果物、ワイン、魚、ロブスターの食事が並べられています。 しかし、この彫刻は全て塩で作られているのです。
400年前の宴を再現したこの食卓に絵画に登場する彼女を招待しても、すぐに食欲をなくしてしまうかもしれない。豊かでカラフルなオリジナルとは対照的に、モノクロのテーブルに並んだ料理は全て塩から出来ているのだから。
塩の彫刻の制作に使用された塩はオーストラリアのミルデュラ地方の河川から採取した塩から作られています。この地域はオーストラリアの「フードボウル」として知られる地域で、国の大部分を占める新鮮な農作物を生産する役割がありましたが、現在では海水の7倍にも上る塩分濃度になってしまっています。
原因は大規模な灌漑システムが地下水脈を蝕み、野生生物や地元食材を毒しているのです。この塩害から生物や農作物を守るため、毎年500,000トンもの塩を地下水脈からポンプを使い汲み上げなければならないというのです。
2人の作品で表された食物はこの地域で生産されているのだそうです。また、塩の彫刻を作るにあたり、塩を凝固させるのに、3つの塩を用いて固める事に成功したそうです。そんな彼らの作品はABC newsなど多くのメディアに取り上げられ多くの注目を集めています。
≫A sumptuous feast recreated in salt