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驚くべき鳩の品種改良、人間の愚かさを目の当たりにする事になる

2012年05月30日
驚くべき鳩の品種改良、人間の愚かさを目の当たりにする事になる
そろそろ人間は己の愚かさに気づくべきかもしれない。今回はNPA(ナショナル・ピジョン・アソシエーション)の主催する2010ソルトレイク鳩コンテスト(全ての画像はリンク先へ)で入賞した鳩の画像を幾つかピックアップして紹介しながら、併せてNational Geographicが特集した鳩の驚くべき能力を記録したドキュメンタリーBrilliant Beasts:Pigeon Genius1.2.3.4)から興味深い話しをお届けしていきたい。

あなたは鳩が街にあふれている理由を知っているだろうか?その答えはとても単純で抜群の能力を持つからだ。鳩はチーターをしのぐ速さを持ち、ゴリラを上回る筋肉にホホジロザメに勝る俊敏性を備えている。クルッククゥーと愛らしく鳴く声とは裏腹に彼らは空から舞い降りエサをあさる集団だといえる。

鳩は古くから人間に愛されては来たものの、長い年月をかけ脅威の進化を遂げ、並外れた感覚を持つ空の王者であり、学習と記憶の天才でもある。伝書鳩(レース鳩)の歴史を少し覗いてみるだけでもその優れた方向感覚に驚かされる。

1日に16000回エサをついばみ、1年間にする糞の量は1羽当り10kgにも及び各地で糞による被害に悩まされている住民も多いが、それはとても各都市で繁栄している優れた生き物だという事を示している。まだ、解明されていない能力も多く存在するが古くから人間にとって非常に身近な存在だった。シュメール人にとっては神の使者であり、ローマ・ギリシャ人には多産の象徴でもある。そして、聖書の中で鳩は祝福される存在となっている。

驚くべき鳩の品種改良、人間の愚かさを目の当たりにする事になる

鳩の優れた帰巣本能は通信手段に革命をもたらし、古代エジプト時代の戦争に利用され、戦場では無線より確実だという理由で第一次世界大戦中でも活用されてきた歴史がある。時代は移り変わり伝書鳩やレース鳩として利用方法が変わってもその能力を活用してきたのが人間だ。そして、もっとも身近な存在である人間が最初に食用として飼った鳥は鳩だった。

彼らの能力、例えば最も難しいとされる垂直飛行が可能な理由や大都市では欠かす事の出来ない空中でホバリングする技術などを解明しようとロンドンの獣医学校では鳩の飛行能力を研究していた。その研究では特殊カメラで翼の動きを撮影し、高低差のある2点間を鳩に行き来させ日常で見られる急な動きを再現させた。この能力は祖先のカワラバトが敵の少ない絶壁で暮らすために会得したものだ。

この高い飛行能力の秘密は力強い翼にあり、研究で明らかになった飛行能力は鳩の羽を支える骨が丈夫でしなやかなだけでなく、上腕や前腕、手首から指先まで人間にそっくりであり、この腕がパワーの源だったというのだ。離陸には飛行中に比べ多くの力が必要で力強く羽ばたいて空気を押し下げる。その際に1枚1枚の羽を閉じて空気の漏れを防ぎ、翼同士が触れるほど大きく羽ばたくという。特殊カメラでスローモーション映像を撮影し確認すると、そこには驚くべき発見があった、それは「振り上げた翼の先端の羽を見ると、1枚1枚ねじれている」それぞれの羽が一時的に小さな翼となり、飛び立つ際の浮力と推進力を生んでいた。

さらにこの驚異の飛行に欠かせない秘密があった。鳩の骨は空洞になっており、力強い飛行の際でも曲げやねじれにも耐えられる。もし、骨が空洞でなければ折れてしまう。それを現代の技術に例えると空飛ぶフェラーリで、頑丈なボディに強力なエンジンを搭載し、一瞬で時速50km/hまで加速し遠くへ飛んでいける。

まだ彼らの能力には驚くべき点が多く存在しており、優秀なレース鳩は時速80km/hで空を飛ぶ。飛行速度を維持するのに羽ばたく回数は最高36000回、心拍数は毎分100から700に上昇し、その状態を維持する。とても人間には真似する事の出来ない事だが、この桁外れの筋力とスタミナは筋肉が体重にしめる割合の3割強にもあたる事が要因だといえる。他の鳥の多くが2割程度というからその差は歴然であり、人間に例えてしまうと筋肉だけで27kgもある超人になってしまう。

その驚異の筋肉は飛行の際に普段の10倍もの酸素を必要とする。通常、哺乳類の場合は酸素を吸うと肺で二酸化炭素が混じるのだが、鳩やその他の鳥の体には酸素だけを溜め込む特別な袋があり、二酸化炭素は混じらない。つまり、鳩は人間に比べて効率的に酸素を吸収でき強い筋肉を効率的に使うための優れた機能を備えている。

驚くべき鳩の品種改良、人間の愚かさを目の当たりにする事になる

人間はこれまで紹介したような鳩の優れた能力を活用し、歴史を動かしてきた。だが、以下の画像で見られる鳩には美しさを感じながらもぞっとする相反した感情が存在する。鳩の遺伝を研究する獣医師などによると、鳩の遺伝子の可能性は昔から知られており突然変異によって様々な姿や形になる性質を利用して500年かけて改良された鳩が以下の画像の結果となる。この様に改良された鳩の中には行動にまで影響が及んだ場合があり、普通の鳩にみられない奇妙な飛行をしたり、自らのくちばしを使ってヒナに満足に餌をあげる事ができない、水を弾かず体温を保てない羽毛といった特徴をもっていたりもする。

見かけの奇抜さは以下の画像を見てもらえば分かるが、長年の品種改良で行動にまで影響が及んだ品種にBirmingham RollerYouTube)が存在する。映像からも見ても分かるが彼らの見かけは一般の鳩とみかけは変わらない。だが、飛行中に集団で宙返りし、なかには1秒間に13回転するものもいる。宙返りで彼らは空中で静止し、体を反り、羽をたたみ2~20mの範囲を急降下する。それは自らの存在を示し、敵の目につきやすく木に衝突する奇妙な飛び方だといえる。

最後に鳩の愛情について。鳩のつがいの始まりはキスから、雌が雄にくちばしを入れて結婚が成立する。互いに助け合って常にヒナを見守り、一生離れる事はない。雄が枝を集め、雌が巣を作る。巣のサイズは母鳥と卵が入る程のものだ。そして、交尾に移行するのだが、雄は雌の気を惹くため、ダンスを踊ったりする必死なヤツもいる。だが、必死さに呆れているのか直ぐには受け入れず、時期が来たら雌は雄を受け入れる。それから約10日後、決まって2個の卵を産む。それは無理なく育てられる数であり、最低でも1羽は生き残るという事だ。

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Photos: Pretty Pigeons Exist! (But Are Still Pigeons)



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