魂を揺さぶる世界報道写真2011年受賞写真に激しく心を打たれた
2011年08月27日
アムステルダムを拠点に行われる世界報道写真大賞は、その年を象徴する出来事の感動と驚きを映像に捉えた、世界の才能ある写真家を毎年表彰している。今年の受賞者は南アフリカの写真家ジョディ・ビーバー氏で、タリバン兵の命令後、虐待的な結婚を逃れた罰として夫から鼻と耳を残酷なやり方でそぎ落とされたアフガニスタン女性の衝撃的な写真でこの賞を受賞した。
中国とハイチで起きた地震の余波から、魅惑的な火山、そしてミラノのファッションウィークの興奮まで、世界報道写真のセレクションは2010年に起きた人類の経験を網羅している。そのなかにはトラウマを招くような惨劇を映したイメージもあるが、美しい作品もある。素晴らしく、そして胸がつまるような作品の数々を見てみよう。

2010年世界報道写真グランプリは18歳の家庭内暴力被害者ビビ・アイシャ(Bibi Ayesha)さんの写真が選ばれた。彼女はタリバンのメンバーに命じられ、夫から顔を傷つけられた。彼女は現在、アメリカに暮らしている。南アフリカの写真家ジョディ・ビーバーが彼女の内面の美しさを写した肖像です。16歳で許嫁のもとに連れて行かれて虐待をうけ、逃亡をはかったことを理由に「夫の家族の名誉を汚した罪」で耳と鼻を削がれたビビ・アイシャの肖像。現在彼女の鼻は人工の鼻で復元され、アメリカで様々な人のサポートを受け生活している。TIME紙に掲載され世界中に衝撃を与えました。その他の写真

オリヴィエ・グリューネバルト氏の作品:「センター・オブ・アース」と題されたコンゴ民主共和国にある火山。別名「地球のヘソ」の写真。コンゴ民主共和国の世界遺産は5件全てが自然遺産であるが、その全てが「危機にさらされている世界遺産」登録されているという他に例を見ない状況となっている。

ガング・ニウ氏の作品:チベット僧による地震被害者の集団埋葬。青海省玉樹チベット族自治州で2010年4月14日朝に発生したマグニチュード7.1「青海玉樹地震」の被災者。中国と日本の政治的関係も注目を集めましたね。

ヨースト・ヴァン・デン・ブローク氏の作品:ロシアの大型帆船クルーゼンシュテルンに乗船する士官候補生。

マルコ・ディ・ラウロ氏の作品:食糧危機に襲われたニジェールの食肉取引市場。国境なき医師団日本でも数年前から援助活動の話も出ている様です。

ピーター・ラカトス氏の自殺する男性を捉えた写真:40歳の男性は身体に火をつけ、ハンガリーの首都ブダペストの自由橋(リバティー・ブリッジ)の小塔から飛び降りた。動機は不明である。

ダビデ・モンテレオーネ氏によるミラノファッションウィークの写真

アンドリュー・マコンネル氏の作品:市場の労働者でありオーケストラのメンバーである女性がコンゴ民主共和国のキンシャサでチェロの練習をしている。

アンドリュー・マコンネル氏の作品:モロッコの管理下にある西サハラ地域に住む、サハラウィ人の女性。彼女の仲間は数十年にもおよぶ独立を求める紛争に参加している。

オリヴィエ・ラバンマテイ氏の作品:ハイチ地震の余波。2010年1月12日ハイチ共和国で起こったマグニチュード (M) 7.0の地震で、死者が31万6千人程に及ぶなど単一の地震災害としては、スマトラ島沖地震に匹敵する規模になった。地震の規模と政情不安定に起因する社会基盤の脆弱さが相まり、多くの死者をだしてしまった。

シームス・マーフィー氏の作品:ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏の肖像写真

ケマル・ジュフリ氏の作品:インドネシアのジャワ島にあるメラピ火山噴火直後の様子

エド・カシ氏:ベトナムの枯葉剤障害に苦しんでいる9歳の少女

ウルフラム・ハーン氏:若い女性がマイスペースに載せるためセルフポートレートを撮影する様子。

オマル・ファイサル氏:サメを運ぶソマリアのモガディシュ通りの男性

ステファノ・ウンターティナー氏:屈斜路湖の上を歩く白鳥
一枚の写真がどんな言葉よりも魂に響いてくるのが、この受賞写真をみて感じる事が出来ると思います。これが写真の力なのだとだれもが認める事でしょう。それでも、まだ多くの事が世間には伝わっておらず、調べても日本では一瞬報じられただけで忘れ去られたニュースなども数多くありました。もう少し日本以外にも目を向けないといけないと考えさせられた記事でした。
≫The Best in Photojournalism: World Press Photo 2011 Winners